「松屋創業140周年記念 熊田千佳慕展」に行ってきた。

2009年8月22日 09:10
kuma10.jpg
銀座の松屋8階で開かれていた、熊田千佳慕(くまだちかぼ)氏の展示会に行ってきた。
予想外の人の多さにビックリしたけど、1時間半ぐらいかけてじっくり見てきたよ。

氏の作品は、その精密な描写が評価されるケースが多いが、俺はそうじゃないと思う。
精密な描写は、他の昆虫画家でもしていることだし、これよりすごいクオリティーの絵が、昆虫図鑑には昔からゴロゴロ並んでいる。
で、俺は数多の作品群を目の当たりにして、
氏の作品のすごいところは、「描こう」と思ったときから「描き終わるまで」の、一貫した姿勢や妥協を許さないスタイルだと思ったのだ。

氏は昆虫を描く際に、写真を模写したり、標本を模写したりすることは基本的にしないという。
「じっくりと見て、見極めてから描く」というコンセプトの下、外で昆虫を見かけると、「面白い」「カッコいい」と思った部分を徹底的に観察し、頭に焼付け、家に帰り即座に描きとめるのだそうだ。
展示してあったノートには、スズメバチの針の部分だけが描かれたものや、カマキリの口角だけが描かれていたものなど、氏のスタイルを裏づけしてくれるものが多数あった。

筆の流れ、鉛筆の流れが、とにかく理にかなっている。
昆虫の甲殻や、葉っぱの繊維など、どの部分をとっても「線」があらぬ方向に走っていない。
そして背景の描写にいたるまで、手抜きが無い。
カマキリの幼虫の細い足が落とす、頼りない影でさえも存在感がある。
作品に魂がこもるとは、こういうことなんだな。

chicabo.jpg熊田千佳慕氏は、この展示会が開催された8月12日の翌日、8月13日に永眠された。
病弱な幼少期を過ごした彼も、99歳の大往生だ。
技術や姿勢に雲泥の差はあるものの、俺もデザイナーのはしくれとして、「作品」に向き合う姿勢を今一度見直す、いい機会にめぐり合えたと思う。
1000円の入場料で、大きなものを得ることができた。

銀座松屋の次の催しは、赤塚不二夫展だそうだ。
ポータルサイトで孫悟空のシェーなどを見た人も多いと思うけど、これも見に行かなくては。

展示会を出たら、腹が減っていたので松屋正面の吉野家に入ることにした。
なぜかというと、俺の親父が以前この吉野家に入り、
「銀座の吉野家は味も上品だ」
という、ほとんど都市伝説のような感想を俺に述べていたからだ。
牛丼を食べてみると、びっくりするぐらい他店舗と同じ味で、なんだかオッパイをもみたくなった。

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